第1回尾道てのひら怪談林良司賞受賞作品『長江小学校の蛇』
- 事務局
- 2017年3月29日
- 読了時間: 2分
更新日:2020年11月18日
作品タイトル: 長江小学校の蛇
筆名: 三浦 佐世子
うちが、通った小学校は、長江小学校よ。 昔は、尋常小学校とか、国民学校とかいろいろ呼び方があったんよ。 うちが入学したのは昭和十八年(一九四三年)その頃は、各学年とも三組も四組もあり、生徒の数が多く、ええ学校じゃったんよ。 この学校が出来たのは、明治四十三年、今から百十年ほど前のことよ。 岩の多い山をくずして、平らにしていく工事は大変なことじゃったそうな。その山には、蛇がえっとおったといわれ、三月に始まった工事に、まだ冬眠中の蛇がえっとつかまったそうじゃ。冬眠中の蛇を殺すのはかわいそうじゃと工事の人達は思ったんじゃけど、仕方ない。焚き火の中に放りこみ、蛇を殺したんじゃ。その数なんぼうおったかわからんほど多かったそうよ。その火の燃えかすは、土といっしょに校庭の地下に埋められたそうじゃ。でも、たった一匹逃げた蛇がおっての、その蛇が恨みとたたりをもったんよ。 なんとか無事に学校はできたんじゃけど、この工事をうけおうた会社の親方が急に死んだんじゃ。みんなは、こりゃ蛇のたたりじゃと、その当時騒いだんよ。 そのあともあるんよ。長江小学校が遠足じゃといえば、雨が降り、運動会といえば、雨が降る。こりゃあ、もう蛇のたたりしか考えられんとよく言われたもんよ。 うちが通っていた時も、なんか行事がある時には、よう雨が降りようたもんじゃ。これも蛇のたたりかもしれんと、みんなゆうたんよ。

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