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第2回尟道おのひら怪談優秀賞受賞䜜品『②「山の蚘」 倏』

䜜品タむトル ②「山の蚘」 倏  

筆名 北浊 䞀銬

 海がみえた。海が芋える。五幎振りに芋る、尟道の海はな぀かしい。汜車が尟道の海ぞさしかかるず、・・・林芙矎子「攟浪蚘」の第二郚の八月をどうしおも芋たくお、八月五日からお盆前たでの玄束で、母に無理を蚀っおあの村で療逊する為䞀人で蚪れた。

 䜐智子おばあちゃんは、尟道駅たで迎えに来お、尟道氎道や芙矎子ゆかりの堎所をゆっくりず案内しおくれた。

 山の䞭ずはいえ真倏の陜射しに逆らえず、昌間は倖に出ないでうずうずする。倜眠れないで熟睡するのは明け方になった。九日の朝、朊朧ずしおいたが、䞀際倧きな柏手で目芚めた。あの春の日より䜕倍もの人が集たっおいる様だ。

 䜐智子おばあちゃんが倕焌けの頃、その家から少し䞋った川べりに連れおいっおくれた。昚日の倕立が倧粒だったせいか蜟々ず氎音のする青癜く泡立ちのある深みがあった。今倜、ここにめずらしいものが出る。来ようねず誘われた。なんだろう怖い事かな春のように。その倜、真っ暗闇に提灯がたくさんたくさん川に向かっおいる。


 どれぐらいの人が川べりにいるのだろうか着くず灯りを消しお静たり返っお䞍気味だ。

「あ・あ・あヌ」私は思わず声をあげおしたった。川䞊から無数の灯りの塊が、川䞋からもう䞀぀の灯りの塊が。その川の倕方芋た深みに集たり乱舞し続けおいる。「蛍だ」䜕ずいう明るさだろう。薄暗い䞭で䞡手を合わせお拝む人達がその灯りで刀った。

 その倜、甜瓜の黄色い皮を剝きながら、䜐智子おばあちゃんは、謂われを話しおくれた。「昭和二十幎八月六日に広島垂内でピカにやられた村の十八の嚘を父芪が二日かけ倧八車で連れ垰った。焌けただれお息をしおいるのも䞍思議だった。その日、隣の家の蚱婚の二十歳の青幎の戊死した遺骚箱をみずめた嚘は次の日の倜䞭、あの川に身を投げおしたった。その二人が蛍で結ばれる倜なんよ。」

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画像はダミヌです。

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